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小児矯正の急速拡大装置とは?メリット・デメリット・矯正期間・費用・適応年齢など紹介
歯科医院から急速拡大装置を提案されたけど、何だろう?と疑問をお持ちではないでしょうか?急速拡大装置は主に小児矯正に使用される矯正器具ですが、よくわからないと思います。そこで今回は、急速拡大装置についてメリット、デメリット、矯正期間、費用などについて詳しく紹介いたします。
急速拡大装置とは?
急速拡大装置とは、上顎を拡げるための固定式の矯正装置です。短期間で上顎の歯列全体を拡げていきます。永久歯が綺麗に生え揃うためのスペースが不足している症状の子供に用います。
急速拡大装置の構成要素としては次の通りです。
- ・金属製のバンド
- ・金属製の太いワイヤー
- ・拡大ネジ
拡大ネジを調整することで歯列弓(しれつきゅう)を押し上げて上顎を拡げていきます。
上顎の骨は左右2つに分かれており、上顎正面にあるつなぎ目(正中口蓋縫合)は10歳頃に塞がります。つなぎ目が塞がる前に急速拡大装置を用いて拡大し、上顎の幅を拡げて永久歯が自然な位置に生えるためのスペースの確保を行います。
急速拡大装置のメリット
急速拡大装置のメリットは次の通りです。
- ・短期間で顎を拡大できる
- ・抜歯のリスクを軽減できる
- ・口呼吸の改善ができる
- ・鼻詰まり、鼻漏、アレルギー、アデノイド肥大の改善
短期間で顎を拡大できる
急速拡大装置による矯正治療は、最短3ヵ月程度、長くても6ヵ月程度です。子供の顎骨は未成熟で柔らかいため、動かしやすく治療期間が短く済みます。
抜歯のリスクを軽減できる
急速拡大装置で上顎を拡げることで永久歯が自然に生えるスペースを確保でき、抜歯のリスクを軽減できます。抜歯をしたくないという親御さんも多く、急速拡大装置を選択される理由の一つとなっています。
口呼吸の改善ができる
鼻腔が小さい子供は鼻呼吸しにくいため、無意識に口呼吸をしてしまいます。
急速拡大装置で上顎の骨を拡大すると、鼻腔が大きくなるため、鼻呼吸しやすくなります。
口呼吸は歯並びに影響するため、口呼吸の改善は急速拡大装置のメリットのひとつです。
急速拡大装置のデメリット
急速拡大装置のデメリットは次の通りです。
- ・装着中は不快感がある
- ・口を開けると装置が見える
- ・痛みを感じる
- ・発音しにくい、飲み込みにくい
- ・顔つきが変化する
装着中は不快感がある
口の中に金属製のバンド、太いワイヤーが上顎に装着され、強い力で奥歯を外側へ押し出そうとするため、違和感を訴える子供もいらっしゃいます。装置を自分では外すことができないため、慣れるまでの間は不快感があるのは否めません。
装着当初は強く不快に感じますが、1週間ほどすると少しずつ慣れていきます。口の中に装置の存在を感じることはありますが、気になることは次第に少なくなっていきます。
口を開けると装置が見える
急速拡大装置はワイヤー矯正と比べると目立ちにくいですが、口を開けると装置が見えることがあります。第一小臼歯と第一大臼歯にバンドを取り付けることが多く、会話するだけでも第一小臼歯の金属は見え隠れします。
事前に歯科医師からメリット・デメリットについては説明いたしますので、見栄えの悪さを気にされるのでしたら、別の治療方法を提案することもあります。
痛みを感じる
急速拡大装置は900g~数kgの強い力をかけて、上顎の幅を広げていきます。そのため、口周り全体や鼻の奥に痛みを感じます。数日で痛みに慣れてきますが、痛みが子供のストレスになるのは間違いないでしょう。
発音しにくい、飲み込みにくい
急速拡大装置が上顎に装着されているため、発音しにくさを感じる子供もいます。また、食べ物を飲み込むときに邪魔に思うかもしれません。ワイヤーに食べかすが付着し、気になることも多くなるかと思います。
顔つきが変化する
上顎が拡がることで鼻腔も拡がるため、小鼻が横に大きくなることを気にされる方もいます。また口の中が大きくなる感覚も強くでたりします。
幼少期から大人になることで顔つきが変化するため、あまり目立たなくなる方や矯正治療が終わると元に戻る方もいます。
急速拡大装置は他の矯正治療との併用が多い
急速拡大装置は上顎の幅を拡げて、歯を動かすスペースを確保しますが、急速拡大装置だけでは、十分な矯正治療ができるとは限りません。噛み合わせや歯の向きを変えるといった三次元的に矯正していくために、ワイヤー矯正やマウスピース矯正などの装置を併用することが多いです。
急速拡大装置の適応年齢
急速拡大装置の適応年齢は、上顎正面にあるつなぎ目(正中口蓋縫合)が自然に開く「思春期」くらいだと言われています。教科書的には10歳前後までと言われていますが、10歳以降でも効果を得られるため使用することもあります。
急速拡大装置の矯正期間
急速拡大装置の矯正期間は、3ヵ月~6ヵ月程度です。他の矯正治療と比較してもかなり短いです。しかし、短期間で上顎正面のつなぎ目を拡げるため、すぐに取り外してしまうと少しずつもとに戻ろうと、幅が狭くなっていきます。
そのため、後戻り防止のために上顎を拡げきったあとも一定期間装着したままにしておきます。また、1度で顎の広がりが十分な場合もあれば2度目が必要な場合もあります。
※患者さんによって矯正期間は異なります。
急速拡大装置の費用
急速拡大装置による矯正治療は自由診療になるため、歯科医院によって費用は異なります。また、他の矯正治療と併用することが多いため、合計の治療費は数十万~数百万になるでしょう。
費用の詳細は直接ご確認いただくことをおすすめいたします。
急速拡大装置の注意点
ここでは、急速拡大装置の注意点を紹介いたします。
念入りな歯磨き
急速拡大装置は取り外しができず、上顎に装着されるため、食べ物が非常に詰まりやすいです。ガムや繊維質が豊富な食べもの、麺類などを食べた後は、念入りに歯磨きをしてください。小さい子供だと歯磨きが不十分なことが多いため、親御さんがしっかり仕上げ磨きをするようにしてください。
マウスウォッシュを使用するのもおすすめです。
磨き残しが多いと虫歯になりやすくなり、もし虫歯になったら治療計画を変更し、虫歯を最優先で治療することになります。
対応可能な歯科医院が少ない
急速拡大装置を扱うには、正中口蓋縫合線にまつわる外科的な知識と経験が必須です。
矯正治療は歯に関する知識だけでは不十分です。歯科医師によっても得意領域は異なるため、対応可能な医院を探す必要があります。
急速拡大装置のよくある質問
急速拡大装置のよくある質問をまとめています。ぜひご覧ください。
急速拡大装置に慣れるまでにどのくらい時間がかかる?
はじめて装着した際は、1週間ほどすると少しずつ慣れていきます。また、1日に決められた回数・決められた量に従って、ねじを回す際に痛みを感じますが、すぐに慣れていきます。
床矯正と急速拡大装置の違いは何ですか?
「床矯正」は上顎、下顎に使用できて、自分自身で取り外し可能で、「急速拡大装置」は上顎のみで自分では取り外しはできません。
下顎に急速拡大装置は使えますか?
いいえ、下顎には急速拡大装置は使用できません。下顎を拡大する際は他の矯正装置を使用します。
通院間隔はどのくらいですか?
1か月~2か月に1回程度の通院をお願いしてます。
毎日のねじの調整は自分自身か親御さんが行うため、毎日通院する必要はありません。
後戻りすることはありますか?
後戻りすることはあります。
後戻りをしないために拡大完了後は保定期間を設けます。
まとめ
急速拡大装置は上顎に装着し、上顎を拡げて永久歯が生えるスペースを確保するための固定式の矯正装置です。
短期間で上顎を拡大でき、将来の抜歯リスクを軽減、口呼吸の改善といったメリットがあります。一方、装着中は違和感がある、口を開けると装置が見える、痛みを感じる、発音しにくい、飲み込みにくい、顔つきが変化するといったデメリットもあります。
急速拡大装置は顎の成長が止まっていない10歳前後の子供に効果的な矯正方法です。
もし、急速拡大装置をご希望でしたら、早めに矯正の決断をしていただくことをおすすめいたします。
大阪の長堀橋・松屋町・谷町六丁目近辺にお住いで、子供の歯並びや顎の成長状態が気になるという方は、ハローデンタルクリニックにご相談下さい。子供の矯正について誠実に、真摯に対応いたします。
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