先天性欠如
（歯の本数が足りない）の矯正

先天性欠如の歯並びについて

「子供の歯がいつまでも残っている」「大人の歯が生えてこない」という方は、先天性欠如の可能性があります。
先天性欠如（せんてんせいけつじょ）とは、生まれつき歯の本数が足りない状態を言います。

通常、乳歯は20本、永久歯は親知らずを含めると32本です。
しかし、永久歯の元となる「歯胚（しはい）」がないことによって、永久歯の本数が足りない、乳歯がずっと残っているといったことが起きます。

乳歯から歯の本数が足りないこともありますが、永久歯の時に歯の本数が足りないことが多く、おおよそ10人に1人の割合で発生すると言われています。

先天性欠如の原因ははっきりしていません。
「両親からの遺伝」「妊娠中の栄養不足」「全身疾患の影響」「胎児のときに母親が服用していた薬の影響」など様々です。

通常、永久歯が乳歯を押し出して生え変わりが起こりますが、先天性欠如の場合は、乳歯が抜けずにそのまま残ります。

しかし、乳歯は永久歯と比べて虫歯になりやすいのと、20～40歳頃には自然と抜け落ちます。乳歯が抜けたあとは隙間ができるわけですから、その隙間を埋めようと歯が動いて、周辺の歯が倒れこんだり、動いたりして歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼします。

顎が成長している時期に乳歯が抜けて、永久歯が生えてこないと、顎の成長にも悪影響を与えたり、顎関節症になる可能性もあります。

このようなリスクがあるため、先天性欠如は発見次第、適切な治療を検討する必要があります。

先天性欠如の対応方法は次の通りです。

ブリッジ
ブリッジとは、欠損歯の代わりとなる人工の歯を、両隣の歯を土台にして人工歯を支える治療方法です。隣り合う歯が健康であっても人工歯を被せるために、削る必要があります。
インプラント治療
インプラント治療とは、顎の骨にインプラント体（人工歯根）を埋め込み、アパットメントと呼ばれる義歯との連結部分に部品を取り付けて、
義歯を被せる方法です。ブリッジとは異なり、周辺の歯へ負担をかけることがありません。
しかし、外科手術が必要で、費用が他の対応方法と比べて高額です。
入れ歯
欠如している箇所に対して、部分入れ歯を使用します。ブリッジのように隣の歯を削らなくても良いですが、部分入れ歯を支える留め具によって多少負担をかけたり、装着場所によっては留め具が外から目立つことがあります。
矯正治療
乳歯を抜歯し、空いたスペースを矯正治療によって閉じていく方法です。人工物を入れなくても良く、ご自身の歯のみいられますが、長い時間をかけて治療する必要があります。

先天性欠如は大人になってからの治療は非常に時間がかかります。
そのため、顎の成長を利用した「顎顔面矯正治療」を行い、治療を進めていくことで、
大人になってから治療するよりも短い期間で効率良く治療することが可能です。

また、大抵の子は永久歯が生えるスペースが少なく、永久歯がガタガタに生えるため、ガタガタな歯並びも同時に矯正できます。

ワイヤー矯正（表側矯正・裏側矯正）
ブラケット（別の部品をつなぎ合わせたりするための金具）とワイヤーを使って、歯全体を動かす方法です。幅広い症例に対応可能です。当院では、装置を表側に付ける表側矯正と、歯の裏側に装置を付ける裏側矯正に対応しています。
部分矯正
前歯だけ捻じれている、重なっているといった軽度な症状でしたら、部分矯正で対応可能です。ワイヤー矯正のような全体矯正と比較すると、短期間かつ費用を抑えて治療が可能です。しかし、先天性欠如では、適用が難しい場合がほとんどです。
小児矯正
顎の成長や前歯と奥歯の生え方をコントロールすることにより、綺麗に永久歯が並ぶスペースを作ることを目的とした治療「顎顔面矯正」を行います。
大人になってからの矯正では、後戻りが度々起こるとされてますが幼少期に治療をする事でそれらを防止する効果もあります。

歯の数が足りていない歯並びの正式名称は何といいますでしょうか？: 正式名称は、「先天性欠如（せんてんせいけつじょ）」、もしくは「先天性欠損（せんてんせいけっそん）」といいます。
矯正期間はどのぐらいでしょうか？: 子供のうちに治療した場合、1年～2年ほどでスペースが閉じます。
しかし、大人になってから治療する場合は、3年以上時間がかかるケースが多く、長期間の矯正治療を行う必要があります。